受託者の信託報酬における注意点 | 民事信託・家族信託のミヤシタ相談所

信託Q&A

受託者の信託報酬における注意点

民事信託・家族信託(以下「家族信託」と言います。)において、受託者は信託の目的を達成するために、信託財産の管理・処分などの信託事務を行います。

そして、信託事務を行う受託者に対して報酬を支払うことも可能です。
但し、受託者は当然に報酬を受け取れるわけではなく、次のいずれかの条件が必要です。

受託者が信託報酬を受け取れる条件(次のいずれかが必要)
① 信託の引受けについて商法512条の適用がある場合
② 信託行為に報酬規定が設けられている場合

 

通常、家族信託では②のケースによるものが多いでしょう。
つまり、信託契約の中で「受託者は報酬として〇〇円を受け取ることができる」等の定めがされている場合には、受託者は報酬を受け取ることができます。

 

さて、この受託者の信託報酬にはいくつか注意点があります。

【受託者の信託報酬に関する注意点】
信託報酬の額(みなし贈与のリスク)
雑所得として確定申告が必要な場合がある
信託契約書の内容

 

① 信託報酬の額(みなし贈与のリスク)
 

受託者の信託報酬の金額をいくらにするかは信託法上の規定はありません。
そのため、案件ごとに個別具体的に定める必要があります。

成年後見制度の後見人報酬を参考にした額にすることも1つの決め方でしょう。

また、アパートなどの収益物件が信託財産にあるような場合には、受託者が管理会社の役目を担うわけですから、管理会社に依頼した場合の手数料(「賃料の〇%」など)を参考に決めてもいいかもしれません。

但し、信託財産や業務量と比較して、あまりにも高額な信託報酬を支払うような場合には、税務署から「みなし贈与」として課税される可能性もあるので、総合的に考えてバランスの取れた報酬額を決める必要があるでしょう。

 

② 雑所得として確定申告が必要な場合がある
 

受託者が受け取る信託報酬は受託者の所得となり、税務上の「雑所得」となります。
そのため確定申告が必要になる場合がありますので注意が必要です。

受託者の報酬が年間で20万円以上かどうかが判断基準の1つになります。

詳しくは下記URLをご参照頂くか、税理士にご確認ください。

国税庁HP:給与所得者で確定申告が必要な人

 

③ 信託契約書の内容
 

受託者が信託報酬をもらうには、その旨を信託契約書に定める必要があります。

その際に、信託報酬の額又は算定方法に関する定めを設ければ特段問題はありません。
しかし、それらの定めがない場合に注意が必要です。

「信託報酬の額」又は「算定方法に関する定め」がない場合、”相当の額”を受け取れるとされている(信託法54条2項)のですが、その場合には受益者に対して報酬額及びその算定根拠を通知しなければいけません。(信託法54条3項)

例えば、「受託者は受益者の同意を得て報酬を受け取ることができる」のような定めの場合などがそれに該当するでしょう。
このような定めをしている場合には、報酬を受け取る都度、受益者に対して報酬額及びその算定根拠を通知する必要があります。

また、報酬の支払い時期についても信託契約書に明記しなければ原則として後払いとなりますので、支払い時期の希望がある場合にはその旨も定めたほうがいいでしょう。(信託法54条4条、民法648条2項)

 

 


【参考文献】
・道垣内弘人著『信託法 現代民法 別巻』
・道垣内弘人編著『条解 信託法』
・村松秀樹・富澤賢一郎・鈴木秀昭・三木原聡著『概説 新信託法』

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