信託Q&A

受託者の善管注意義務は免除できますか?

家族信託(民事信託)において、受託者は信託財産を管理・処分する権限を有します。

 

そして、その信託事務を遂行する中で受託者は「善良な管理者の注意義務(善管注意義務)」を負うとされています。

(詳しくは『善管注意義務とは?』をご覧ください。)

 

この善管注意義務は任意規定であるため、信託行為において別段の定めを置くことにより、その義務の加重ないし軽減をすることが認められています。

しかし、信託法上も別段の定めができるとは規定されていますが、「別段の定めが可能だが、その定めるところによる注意をもって信託事務を処理しなければならない」旨が条文上定められていることからしても、善管注意義務を完全に免除することはできないと解されています。

 

そもそも、信託の目的を達成するために受託者は信託財産を管理・処分する必要があるのですから、その受託者の善管注意義務を免除するということは、信託を利用する意義がなく、信託を悪用するために利用していると誤解されてもしょうがありません。

なお、受託者がこの義務に違反した場合、損失填補・原状回復責任の問題となりますし、受託者の解任事由にもなりかねないので、受託者としては善管注意義務に違反しないように注意が必要です。