可能ではありますが、信託が終了してしまうこともありますので注意が必要です。
家族信託(民事信託)では、信託法においてその終了事由が定められています。
そして、その終了事由の一つに「受託者が受益権の全部を固有財産で有する状態が1年間継続した時」というものがあります。
これは、受託者が受益権の全部を有することを指し、「受託者=受益者」という状態を言います。
ここで簡単におさらいですが、信託には基本的に「委託者」「受託者」「受益者」の3者が登場します。
委託者:所有財産を信託する者
受託者:信託目的に従って受益者のために信託財産を管理・処分する者
受益者:信託財産の利益を享受する者
受益者は、信託財産から給付を受ける権利を有していますが、それと同時に受託者の信託事務を監督するという役目も負っています。
受託者=受益者の状態だと、受益者による監督機能は望めず、受託者の忠実義務等の形骸化の恐れもあります。
そこで、信託法では、家族信託において受託者=受益者の状態が1年間継続すると信託が終了する旨規定されています。
では、どのような場合が当該終了事由に該当するかいくつかパターンを見てみましょう。
〇=該当 ×=非該当
受託者 | 受益者 | 終了事由に該当 |
A | A | 〇 |
A | AとB | × |
AとB | A | 〇 |
AとB | AとB | × |
受託者のうちの1人が、100%受益権を有する場合には、「受託者が受益権の全部を固有財産で有する状態」に該当してしまうということですね。
なお、この「一年間」という期間は信託行為において短縮することはできますが伸長することはできないと解されています。
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