信託Q&A

受託者の任務はどのような場合に終了しますか?

家族信託(民事信託)において、受託者は信託目的に従って信託財産の管理・処分を行います。
家族信託では受託者の存在はかなり重要なものと考えられていますが、その受託者の任務はどのような場合に終了するのでしょうか?

信託法には次の場合に受託者の任務は終了すると定められています。

信託法第56条(受託者の任務の終了事由)の概要
① 受託者が死亡した場合
② 受託者が後見開始又は保佐開始の審判を受けた場合
③ 受託者が破産手続開始の決定を受けた場合
④ 受託者である法人が合併以外の理由により解散した場合
⑤ 受託者が辞任した場合
⑥ 受託者が解任された場合
⑦ 信託の清算が結了した場合
⑧ 信託行為において定めた事由が発生した場合

 

大まかに分けて受託者の終了事由は「受託者の能力喪失、受託者の辞任・解任、信託行為で定めた事由の発生」の4つに分けることができます。

②③に関しては別段の定めが可能とされています。
後見開始の審判や破産しても任務が終了しない旨の定めがある場合には、その者(被後見人や破産者)が引続き信託事務を行うこととなります。
なお、受託者が法人の場合で、当該法人が破産によって解散した場合は③ではなく④が適用されるとされています。

⑤⑥に関しては、信託行為に当該事項(辞任・解任)についての定めがされているか、委託者が現存しているか等によって、辞任(解任)の方法や可否についての結論が異なってきます。(信託法57条第6項、第58条第8項参照)

また、上記①~⑧(⑦を除く)によって受託者の任務が終了したとしても、次の受託者(“第二受託者”や“後順位受託者”と呼ばれたりします。)を定めておくことによって信託は継続することとなります。

但し、信託行為において「受託者の任務が終了した場合は信託が終了する」旨の別段定めがされていれば信託は終了します。

 

上記のように、受託者の任務がいつ終了するかは信託法に定められていますが、信託行為によって別段の定めも可能ですので、ケースに応じて受託者の終了事由をしっかりと定める必要があります。