活用事例

二次相続以降の資産承継先の指定(資産流出回避)
二次相続以降の資産承継先の指定(資産流出回避)

二次相続以降の資産承継先の指定(資産流出回避)

事例

A(74歳)は離婚をして、現在は後妻B(66歳)と2人で暮らしています。
Aと前妻Xとの間には子供Zが一人います。

家系図

Aは、自分が亡くなった場合、遺産は全て後妻Bに相続させたいと思っていますが、後妻Bが亡くなった後は後妻Bの相続人(後妻Bの親や兄弟姉妹など)ではなく、前妻の子供Zに相続させたいと思っています。

後妻Bが亡くなった場合、後妻Bの親や兄弟姉妹が相続人になるので、Zに相続させるには後妻Bに別途遺言書を書いてもらうしかありません。
しかし、後妻Bが確実に遺言書を残してくれる保証はどこにもありません。

また、Aは自分が今後認知症等になる可能性も含めて、今の内から信頼のできる親戚Yに財産管理を任せてしまってもいいかなと考えています。

家族信託(民事信託)の活用

信託契約

Aと親戚Yで信託契約を締結します。

親戚Yは受託者として信託財産を管理・処分することになります。
自宅の不動産に関しては、受託者Y名義に登記(信託及び所有権移転登記)を入れる必要があります。
なお、これは信託財産を管理処分する者として「受託者 親戚Y」と形式的に登記されるのであり、“所有者”として登記されるわけではありません。(『信託登記簿例』をご覧ください。)

また、信託財産に入れた現金については信託口口座で管理することがベターです。

金融機関で信託口口座を作成するには信託契約書を「公正証書」で作成する必要があるので、本件信託契約も公正証書で作成することが必要です。
また、司法書士を信託監督人に設定することで、親戚Yの信託事務をサポート及び監督し、信託事務を円滑に行えるようにしておきます。
なお、親戚Yには、信託事務の報酬として毎月いくらか信託財産から給付するように定めておき、親戚Yのモチベーションを保てるように対策をしておきます。

・後妻Bの生活の安定
・後妻Bの相続人への資産流出回避
・後妻B死亡後の資産承継先の指定(前妻の子Z)

上記3つがAの願いなので、Aと後妻Bが死亡した時点で信託を終了するように設定し、残余財産の帰属先を前妻の子Zにしておくことで、Aの願いは達成されます(遺言代用信託)。

【補足説明】

①本件のスキームを遺言書で行おうとしてもできません。
遺言書は「Aが死亡したら後妻Bに相続させる」という一世代先のことしか定められないので、次に後妻Bが死亡した後(二次相続以降)の資産承継先は後妻B自身が定めることになります。
後妻Bが前妻の子Zに財産が承継されるように遺言書を残してくれればいいですが、遺言書を残すかどうかは後妻Bの自由なので、Aの“想い”を実現するには家族信託(民事信託)が適してると言えるでしょう。

②本件は信託契約で行っていますが、別のケースとして「遺言信託」で行うこともできます。
遺言信託の場合、あくまで遺言で行う信託なので、Aの生存中は財産の管理等はA自身が行い、Aが死亡した時に遺言信託の効力が発動します。
「自分の生前は特に対策はしなくていいけど、死亡後の対策がしたい」という場合には、遺言信託を検討してもいいかもしれません。

③受託者である親戚Yが判断能力の低下(認知症等)や病気等によって受託者としての信託事務を行うことが難しくなった場合のために、第二受託者として他の者を指定しておくことも検討する必要があるでしょう。

④本件スキームは自益信託(委託者と受益者が同じ)なので、信託設定時には税金は発生しません。但し、A死亡により受益者が後妻Bに移った場合、その時点で相続税の課税の問題が出てきます。

⑤Aは所有する財産すべてについて信託を設定する必要もないので、何を信託財産に組み入れるのかは自由に選択することができます。
なお、その場合、信託財産に関しては信託の中で承継先を決めるからいいのですが、信託財産に入れなかったAの固有財産に関しては、Aが認知症等を発症してしまうと実質凍結してしまいます。
それを想定して別途遺言書を作成することや、成年後見制度の検討もする必要があるかと思います。

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